ワンポイント・リーフレット第1号 コミュニケーション(日常会話)
~大人の関わり方(1)~

平成21年9月
コミュニケーションとは、人と人が言葉や身振り、表情、あるいは文字等を使って自分の気持ちや情報等を伝え合うことです。伝え合うということは、自分の気持ちや情報等を相手に伝えようとすることや、それらを理解しようとすることが必要です。つまり、一方的な伝達だけでは、コミュニケーションが成立したとは言い切れません。
現在では、情報通信機器の発達や核家族化、地域の役割の変化等に伴い、コミュニケーション能力の低下が懸念されており、新学習指導要領においては、日常生活に生きて働くよう言語活動を充実させ、伝え合う力を高めることを求めています。
では、コミュニケーション能力の向上でどんな効果があるのでしょう。
互いの思いや考えを理解し合う→仲間と一緒に課題に取り組み、解決・達成する→仲間からの賞賛を受けるこれらの過程をとおして自信が生まれ、「自尊感情」(自分自身を価値あるものとして評価し信頼する感覚)が高まります。それが学習時間であれば、「学ぶ意欲」も高まります。
相手の気持ちや周囲の状況を汲み取りながら生活するなど、「規範意識」の向上に役立ちます。
教育力向上福岡県民運動「ワンポイント・リーフレット第1号」では、コミュニケーション(日常会話)編として、学校の先生や保護者、地域の方々を対象に、子ども達の生活のあらゆる場面においてコミュニケーション体験を豊かにする基本的なポイントを紹介します。これらを参考にして、日頃の自分の関わり方を振り返り、日常生活の中でさらに実践し続けてみませんか。
ポイント1 子どもの話を最後まで聞く。(言葉の先取りをしない)
(解説)
子どもの話を最後まで聞かず、子どもが伝えたいことの意を汲んでしまい、大人が先に行動したり、話をしたりすることはありませんか。「先生、プリント…。」「ここにあるよ。」や「おかあさん、ご飯…。」「じゃあ、食べる準備をしようね。」また、「子どもがうまく説明できずにいるところに、大人の側から内容を導き出す。」などがわかりやすい例でしょう。
これらの積み重ねが、自分の思いを正確に伝えられないという現象につながります。子どもが、「主語、述語」を使ってきちんと話せるようになるために、大人が言葉の先取りをせずに「待つこと」「我慢すること」、そして「最後まで伝えられるよう仕向けること」(「プリントがどうしたの?」「ご飯をどうしたいの?」)が大切です。
子どもが「主語、述語」を使って、自分の思いを正確に伝えられるということになると、自分に対して自信を持ち、後々、学ぶ意欲や自尊感情を高められるでしょう。
また、話を最後まで聞くことは、話し合いの基本的なルールでもあります。日常の会話の中で、大人が手本となってルールを守ることを実践することにより、子どもにもルールが自然のうちに意識化され、子どもの規範意識を高める方法の一つとして効果があります。
ポイント2 子どもの話は、目を見て聞く。時にはうなずく、共感する。
(解説)
前述のように、コミュニケーションの成立には、一方的に伝えることだけでなく、聞く側の理解しようとする姿勢も大切な要素になります。コミュニケーションは、言葉や文字といった言語によるコミュニケーションと非言語によるコミュニケーションに分かれ、「うなずく」、「相づちを打つ」などが非言語によるコミュニケーションにあたります。
子どもとの会話の中で、大人が話している子どもの目を見て、うなずく等の反応をすることで、子どもは、話が相手に受け止められている、自分が大切にされていると感じ、安心して会話を続けよう、伝えようという気持ちになります。そして、思いを伝えることの喜びを感じ取り、その積み重ねが、自尊感情の向上や、何事にも前向きに取り組もうとする意欲の向上に結びつきます。
さらに、普段の日常会話から、大人自らが、話を聞く姿勢を子どもに教えていくことを積み重ね、子どものコミュニケーション能力の向上を図る必要があります。
ポイント3 会話のキャッチボールをする。そのために、話の内容について、さらに尋ねる。
(解説)
子どもにとって話したいことがあっても、大人が「そう、よかったね。」とだけ話し、会話を打ち切ってしまうと、「もっと話したいのに…」「もっと聞いてくれてもいいじゃない」となります。コミュニケーションに必要な会話のやり取り(キャッチボール)を覚えていく貴重な機会が失われます。「それでどうしたの?」「どう思ったの?」といった言葉から会話を継続させていくことが重要になります。
子どもとコミュニケーションをとる時間がなかなか作れないという場合もあると思います。そのような時はちょっと面倒だと思うこともあるでしょう。でも、大人が忙しいので、子どもの側からの会話の機会を減らす、というのはできるだけ避けたいものです。少しの時間でもいいので、会話のキャッチボールを増やしてみてください。その他にも…
「あいさつ」をきちんと交わす。さらに、「あいさつ」にひと工夫を。
- 「おはよう」「おやすみ」「いただきます」「ただいま」「さようなら」等の毎日交わすようなあいさつは、コミュニケーションの第一歩です。ここでは相手の顔を見るなどし、相手を意識しながらあいさつを交わすことが大切です。さらに、前述ポイント3のように会話を続けるような工夫があるとよりいいでしょう。例;「ただいま」→「おかえり。大きな声で言えたね。今日いいことがあったの?」
「先生、おはようございます。」→「おはようございます。元気だね。朝ご飯は何を食べた?」
あらゆる場面を使って子どもとのコミュニケーションの機会をつくる。
- 幼児や小学校低学年にとって、「本の読み聞かせ」「一緒にお風呂」は特に安心できる場。子どもの話を受け止め、認めながら、会話を楽しみましょう。
- 反抗期にさしかかると、話しかけても反応が返ってこない…ということも多く見られます。それでも、腹を立てずに話しかけることが必要です。子どもは関心を持たれていないことが嫌なのです。
また、「お母さんは○○思うけど、どう思う?」というふうに、パートナーの一人として意見を求める、相談をすることも方法の一つです。







